物事の見方 (5) 錯覚の世界〜イリュージョントリック
同じ時間、同じ場所で、同じ景色を見ていても、その人の知識や経験、物事の考え方、視点によって見える世界は違う。
トリックを使えば、錯覚や勘違いさせることもできる。トリックを前向きに捉えるか、後ろ向きに捉えるか。善用するか悪用するか。物事の見方が変われば未来が変わる。早速、実験してみよう。
1. 大きさを変える
Q. 左右の黒い円で大きいのはどっち?
大きなグレーの円に囲まれた左の黒い円の方は小さく、小さい円に囲まれた右の円のほうが大きく見える。しかし、正解は左右どちらも同じ。グレーの円を隠すと同じ大きさにに見えるはず。デザインでもよく使われるトリックだ。
デザインだけでなく、仕事でも生活の場面でもこのトリックはよく使われている。不動産で部屋を借りるとき、10万円の物件をたくさん並べられて、7万円の物件を見せられると安く見える。逆に、5万円の物件の中に、7万円の物件があると高く見える。その7万円の物件を、ボロボロの部屋ばかり見たと、綺麗な部屋ばかり見た後では、印象も変わる。
2. 色を変える
Q. 左右のグレーの円を比べて濃い色はどっち?
あきらかに左の円の方が濃いグレーに見える。でも、正解は左右どちらも同じ。大きさを変えるトリックと同じで、コントラストが錯覚を引き起こす。
関東の濃い味に慣れると、関西の味が薄く感じる。
3. 長さを変える
Q. 縦と横の線を比べて長いのはどっち?
縦の方が長く見えた人は多いのではないだろうか。正解はどちらも同じ長さ。
お得に見える商品は、見せ方のせいかもしれない。
Q. 上下の線を比べて長いのはどっち?
上の方が短く見えるけど、正解は同じ長さ。入れ物によって長さの見え方は変わる。
お得に見えるその商品は、お店という入れ物のせいかもしれない。
Q. 上下の線を比べて長いのはどっち?
下のほうが長く見えるけど、正解は同じ長さ。同じ長さの線にちょっと細工をするだけで、長さの見え方は変わる。
お得に見えるその商品は、おまけの付け方のせいかもしれない。
Q. 上下の線を比べて長いのはどっち?
この流れでいくと、同じように見せかけて、上の方が長いとか、下のほうが長いんでしょと答える人がでてくるが正解は同じ。上の画像の矢印を外したらこうなる。
冷静になれば同じ商品なのに、いろいろ見すぎて自分を見失ってるだけかもしれない。
良くも悪くも見せ方の違いで、長いものを短く見せたり、短いものを長く見せることも、惑わすこともできる。
エステに行くとあの手この手で努力をしなくても痩せれると説いて、入れ物の中では矢印を付けて錯覚を見せてくれるけど、家に帰ったら矢印は消えていることも多いので気をつけよう。
5. 歪ませる
Q. 2本の線は平行か?
並行である。
この平行線にちょっと細工をし斜めの線を加えるだけで歪んで見える。
放射線状の線を重ねることで膨らんでいるように見えることもできる。。
あらゆる手を使って真実を歪ませてみせる宗教団体やねずみ講にはくれぐれも気をつけよう。
6. ないものをあるように見せる
Q. 白い円と黒い円が見えるか?
このチェックの画像には四角の四隅に白い円があるだけだが、目の錯覚で黒い円も見えるだろう。
存在しないものをあるようにみせることもできる。
留学エージェントや英会話スクールは、レッスンを提供する前に生徒から学費を預かる。その預り金を使い込んでしまって社員に払う給与さえないのに、派手な宣伝、贅沢な設備投資をして消費者には潤沢な資金があるように錯覚させ、突然めっきが剥がれ破綻した大手の英会話スクールや留学エージェントもあった。
7. 違うものに見せる
Q. これは何に見えるか?(下の画像は反転させたもの)
これは有名なルビンの壺。上の画像で説明すると、中央の黒い部分に見を向けると壺に見える。白い部分に目を向ける左右から人の顔が隠れている。
海外に行くと、飲食店も留学エージェントも、日本企業を装った韓国や中国企業が多い。食品偽装、ブランド品偽造。。。人面だと注意書きをしてくれていたらいいけど、そうとも知らずに壺だと思って買った後に人の顔であることに気づいた消費者は後悔する。
錯覚とは恐ろしい。危険なものを安全と思わせることもできる。安全と思い込んでいるその場所は、本当は危険かもしれない。
純粋な人ほど騙されやすい。思い込みが激しい人には、定規で測ってデータで実証するのがよい。いま常識と信じられていることも、未来には非常識だったことが科学的に証明され、錯覚だったと気づくことも多いだろう。
誤解しないで欲しいが必ずしも思い込みが悪いとは言っていない。深刻に考えて病気が悪化する人もいれば、思い込みのフラシーボ効果でも病は気からと治る人もいる。できないと不安になるとできることもできなくなるが、できると信じるメンタルトレーニングは科学的にも効果があることが実証されている。
錯覚というトリックを前向きに捉えるか、後ろ向きに捉えるか。善用するか悪用するか。
物事の見方が変われば未来が変わる。
Change The Future…