いまを生きる

Gather ye rosebuds while ye may, Old time is still a-flying: And this same flower that smiles today, Tomorrow will be dying.

バラの つぼみは早く摘め 時は過ぎゆく。 今日 咲き誇る花も 明日は枯れる。

ロバート・ヘリック『処女たちへ』

『Dead Poets Society(邦題:いまを生きる)』の劇中でロビン・ウィリアム扮するキーティング教授は、教室の外に生徒を連れ出し卒業生の写真の前で詩を朗読させ言う。

”バラのつぼみは早く摘め。” ラテン語で言うならCarpe diem。意味はなんだ?

“Seize the day” (日本語に訳すと”その日をつかめ” “いまを生きろ”)

卒業生の写真に近づき時間は限られていることを説く。耳を澄ませば聞こえてくる。

”いまを生きろ、若者たちよ”

escola-sao-luise-8

友達にいまを生きる男と笑われるぐらい、昔からいつもみんなに伝えているメッセージだ。ブラジルの学校でもFutre Life/Workとともに何度か語ってきた。今日もう一度みんなに伝えたい。常識や普通に捉われてはいけない。失敗や批判を恐れないで。時間を無駄にするな。いまを生きよう。早すぎる父の死によりこの気持ちはさらに強くなった。

ワールドカップ期間中のこの2ヶ月間ブラジルをホームステイしながら旅をしていろんな出会いがあった。陽気なブラジリアンから最も刺激を受けたのが”いまを生きる”ということ。彼らは今という時間をおもいっきり楽しむ。経済的には貧しくとも心は豊かなブラジル。前向きな人といると前向きな考え方になる。やさしさにふれると自分もやさしくなる。

japan-vs-colombia-cuiaba-5

ホームステイ先で眠りにつくとき一日を振り返る。毎晩、最高の時間を過ごしている幸せを感じることができた。このハッピーな気持ちが未来のエネルギーになる。ワールドカップが終わってから7日間以上ほとんど部屋にこもってMacと向き合っているがそんな今も幸せだ。せっかくサンパウロに来たんだから観光すればと言われるけど、先にやりたいことがある。今の若さがあるうちにもっといろんなことを学びたい。感性が研ぎ澄まされアイデアが泉の如く湧き出てくるので時間も忘れるぐらい夢中になり働いてしまう。こういうときにイノベーションは生まれる。

キャプテン・キーティングの教えをもう一つ紹介しよう。ある時キーティングは教室で机の上に立ちこう言う。

なぜ私は机の上にいる? 物事を常に異なる側面から見直すためだよ。 ここから見ると世の中はえらく違うぞ。 君たちも来い。 分かってることも別の面から見直せ。

そして生徒たち全員を順番に教卓へ上がらせて続ける。

ぐずぐずしていると何も見つからないぞ ”人は静かな絶望の中に生きる” という。 甘んじるな前進するんだ。 もっと周りを見渡せ。

生徒たちは変わりはじめる。

エンディングで生徒が机の上に立つシーンは何回見ても泣ける。 10代のうちに絶対に見ておきたい名作。

4wd-drive-to-jeri 4

異国を旅する理由の一つは、いろいろな角度から物事を見るためだ。わかったつもりになっていないか、思い込みではないか、自分の目で耳で肌で確かめたい。ブラジルは言われていたより治安のいい国で、聞いていた以上にやさしい人が多かった。習った通り日本の約23倍の広い国だったけど、思っていたより39時間の長距離バスは快適だった。体がブラジルのスケールに適応したのかもしれない。最初はよくわからなかった複雑な市内バスもいつしか使いこなせるようになっていた。自分でも驚くほど費用も抑えることができた。他の日本人旅行者の半分以下どころか1/10ぐらいかもしれない。これまで世界を旅した経験と知識とネットワークが、ガイドブックは教えてくれない特別な時間をくれた。

海外に出たり留学するのが後10年遅かったらこうはいかなかったかもしれない。年を経るごとに留学の価値を深く感じる。世界中ですてきなホストファミリーに会えば会うほどホームステイを好きになる。いつかつながると信じて10代、20代の頃からいまを生きてきた点が線につながっていく。

未来を変えるために10代、20代でやるべきことは過去のブログを見てほしい。我ながらよいことを言っている。

おまけに、ロバート・ヘリック『処女たちへ』の全文も掲載しておく。留学してこれを原文で楽しめるようになったら未来が変わる。

Carpe diem, Ken

To the Virgins, to make much of Time

GATHER ye rosebuds while ye may, Old Time is still a-flying; And this same flower that smiles to-day, To-morrow will be dying.

The glorious lamp of heaven, the sun, The higher he’s a-getting; The sooner will his race be run, And nearer he 's to setting.

That age is best which is the first, When youth and blood are warmer; But being spent, the worse, and worst Times still succeed the former.

Then be not coy, but use your time And while ye may, go marry; For having lost but once your prime, You may for ever tarry

Robert Herrick