ジュラシック・ワールド映画鑑賞レポート:映画はタイムマシーン

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当時、映画に革新を起こした『ジュラシック・パーク』の公開が、1993年。あれから22年、スプルバーグ製作総指揮で蘇る。

カナダではアメリカに続き先週末の6月12日に公開。オープニング3日週末興行成績歴代一位、史上初の5億ドル越えを記録。史上最速で10億ドル突破。日本公開は8月予定。カナダで暮らしているとリアルタイムで最新映画を楽しめるのがいい。

映画はタイムマシーン。想像力が豊かな人なら『ゼロ・グラビティ』を観てサンドラ・ブロックやジョージ・クルーニーと未来の宇宙を行くことも、『パイレーツ・カリビアン』を観てジョニー・デップと大航海時代のカリブ海へ行くこともできる。

映画はタイムマシーンと呼ぶのは、もう一つ理由がある。時に一本の映画を撮るために制作費を200億とか300億円をかけて最高のテクノロジーと才能を集めて創られる。そんな映像・音楽・物語の融合、目と耳と心を暗闇で刺激された記憶は心に深く刻まれる。

ジュラッシック・パークでブラキオサウルスが登場する、一生忘れられないであろうシーンがある。映画の歴史を変えたそのシーンに、映画の中の博士たちと同じように血の気が引き、あっけにとられたような、涙ぐみそうな、そんな顔をしていたに違いない。父とオープンして間もない神戸ハーバーランドの映画館に観に行き観客が騒めいたことも覚えている。

当時最新のDTSデジタルサウンドシステムから重く響くティラノサウルスの足音や唸り声、コンピュータグラフィックスとアニメトロックスを駆使してスクリーンに映し出されたトリケラトプスの肌の質感や滑らかな動き、恐竜を見たことも聞いたこともないけど、まるで実際に蘇った恐竜を撮影したかのようだった。

最新作『ジュラシック・ワールド』は、同時系列でその後にオープンしたテーマパークを舞台とするストーリー。テーマパークのバイラルサイトがとてもよくできている。最後にリンクを貼っておくが、映画館に行きたくない人は観ないほうがいい。

今作ではこれまでのシリーズで人々を震え上がらせたヴェラキラプトルが、なんと調教されている。世界中の飼育係があの制するポーズを真似をしているらしい。

サファリパークのアトラクションは、もし恐竜を生み出せたらアメリカ人がやりそうすぎて笑える。ポニー乗馬体験コーナーのように子供たちはステゴラウズルにまたがり、シーワールドで見るシャークの食事ショーのように、観客は水しぶき浴びながらモササウルスの食事ショーに絶叫する。バードウォッチングをするように、プテラノドンを眺める。SFだけど、いつかできそうな妙な期待というか願望を持ってしまう。

過去のジュラシックパークのロゴが、わかる人にはわかるように登場する演出も往年のファンにはにくすぎる。前作からの伏線は、重要なシーンでも登場する。もう一回もっと気にしながら見たら多分もっといろんなところで仕掛けが見つかりそう。

遺伝子組み換えで新種のインドミナス・レックスが生まれ、人間のミスから恐竜が猛威を振るうお決まりのシナリオも分かっていてもおもしろい。リミックスされたジョン・ウイリアムズが作曲したお馴染みのテーマに、あの頃を懐かしむ懐古的な興奮と新しい冒険の高揚感がみなぎる。

全編を通して当時スピルバーグがやりたかったけど予算や期限や技術のせいでやれなかったことを今回やりましたという作品。あの頃からのファンも、初めて見る人もきっと楽しめる。2016年は続編映画の当たり年。『ファースト・フューリアス7』も最高だったし、『ミッション・インポッシブル5』も公開間近で、冬にはいよいよ『スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒』が公開される。

もし、琥珀からDNSを採取し恐竜を現代社会に復元することを可能にした未来の恐竜パークできたら、、、、歴史と科学のIfに挑戦した『ジュラシック・パーク』に興奮した子供の頃の記憶は、シネマのスクリーンで蘇った『ジュラシック・ワールド』とともに、22年の時を超えて目覚める。

これをタイムトラベルと呼んだら笑う人がいる。それは物事の見方の違い。内海賢祐の監督・主演・脚本で届ける人生という作品において、後ろ向きな批判や嫉妬はカットされる。全編、夢想と笑いが止まらないハッピーエンドのシナリオだから。前向きで想像力あふれる人にとって、映画はタイムトリップを可能にする小道具なのである。誰にも迷惑をかけず楽しんでることをわざわざ邪魔しなくていいでしょ。こんな変わった人の戯言を、おもしろいと思ったらこの物語に共演してほしい。そして、あなたが主人公の人生という作品で、映画をタイムマシーンと呼ぶ人やブログが、エキストラでも小道具でも出演した時にはコメントをいただけると嬉しい。

http://jp.jurassicworldintl.com/