スリランカから2015年度新入社員へ捧ぐー10年前、10年後。

barberyn

10年前、あなたはどこにいましたか? 10年後、あなたはどこへいきますか?

10年前の2005年、僕はどこにいただろう。

歴史の年表を調べてみると、トロントから帰国し神戸で有限会社U23の日本法人を設立した年と記されている。

もう少し記憶を辿ってみよう。23歳、大学卒業旅行で2001年欧州の旅をする。新卒で入社した会社で死ぬほど働き念願のオーストラリアへ出張する。1年間ちょっと勤め、2002年6月、日韓W杯開催と同時に退職。世界を旅するためトロントへ留学する。そして2003年、トロントでU23誕生。気がつけば生徒もスタッフも増え、日本に帰国し神戸で法人化したのが2005年春。

2005年、神戸。ノマドにもベースキャンプは必要で、トロントから北海道を経由し神戸に帰ってきてすぐに、仮住まい兼U23日本本社になる部屋を探した。賃貸契約するのは初めてで、留学の時と同じで最初はどうやって部屋を探すのが賢いのかわからなかった。留学と同じように、後輩に部屋探しのアドバイスできるようにと、賃貸ビジネスのカラクリを研究した。あざといセールストークに騙されない方法や家賃交渉術、仲介手数料を安くするコツ、退去時に過大請求を防止する対策など、いろいろ賢くなった。

いくつか内覧をし交渉もうまくいき広告掲載額の30%ぐらい割引で理想のU23日本本社が見つかった。マンションの一階で入り口に一番近い101号室というのは、世間一般的には人気がないらしいけど、スピード狂の自分には階段もなく一番早く外に出れて最高の部屋だった。

引っ越しは、甲南で買い物をしたら無料で軽トラを借りれるのでそれを拝借した。冷蔵庫や洗濯機もオークションで1円で落札できた。処分に費用がかかるため1円で引き取ってもらえたら出品者も嬉しいのだ。空気清浄機なんかも親戚にもらった。内装は東急ハンズで材料を買って部屋を赤く染めた。

食事は、オフィスの近くの神戸で一番安いと言われる、その名も大安定市場へ、新鮮な野菜や魚を買い出しに行き、おばあちゃんにもらったフライパンで自炊した。iPhoneもクックパッドもない時代なので白いフラットパネルのiMacでレシピを検索した。

最近の日本でも資本金0円で簡単に起業できるけど、2005年はまだ有限会社があった時代で、会社の登記をするため、インターネットで調べて、書籍を読んで、無料の行政書士に相談し、法務局や市役所へ中古の自転車で奔走した。登記も後輩にアドバイスできるように自力でした。カナダで会社を作るより母国の方が苦労した。

トロントで生まれた小さな会社の資本金は限られており、お金がない分は、知恵を出して、体を張った。『1/23の費用で引っ越しと起業する冴えた方法』という本が書けるぐらい、かけた時間に見合う以上の経費削減と知識蓄積に成功した。はじめてのことでおもしろいし、生徒やスタッフのことを考えるとアイデアもパワーもみなぎる。

神戸とトロントの時差は14時間、リモートワークも手探りの時期で、ホストのような昼夜逆転の生活をしたり、アナウンサーのように午前3時ぐらいに早起きしたり、1日を2つに分け短時間睡眠の生活を試したり、当時はとにかく時差と悪戦苦闘した。インターネットはADSLの時代で、iChatで通話をするにも回線が不安定なことも多く、画面共有も使えず高次元なコミュニケーションに苦労した。

まだ自分がいなくても周る仕組みはできておらず、昼は日本の会社設立や経営の勉強、夜はカナダとオンラインでつなげて通常業務。買い出しや料理やサッカーでリフレッシュしながら、ほぼ1日中、寝ても起きても仕事と勉強していた。体力的にはきつかったけど、精神的には健康で、伸びていく自分とU23の未来にワクワクしていた。

あれから10年、2015年のU23は自分がいなくても周る仕組みを作り、家も捨て世界を旅しながら働いている。あの頃に描いた未来は、ぼちぼち実現している。

10年前の2005年頃は、Future Work《未来の働き方》で実践していたノマドワークもSOHOもまだ世間に浸透しておらず、知らない人には胡散臭いと言われたものだ。インターネット企業や海外の会社を怪しがる人もいた。2015年の今はどうだろう?リモートワークが胡散臭いなんていったら笑われるのはどっちだろう。

The Times They’re A Changing. 時代は変わる。

これから10年後は、いま僕がFuture Life《未来の生き方》と呼び、世界23周の旅をしながら挑戦している、家を捨て、世界中のいろんな場所で遊牧民のように暮らすライフスタイルもたいして珍しくなくなっているだろう。テクノロジーが世界を縮めてくれるはずだから、面倒なのは税関ぐらいで、東京から大阪へ移動する感覚で香港からロンドンへ移動するだろう。

世の中が追いついてきたら、僕はその先に行ける。Future Lifeを超えるNeo Future Lifeに挑戦し、今は一人乗りのイカダを、家族や仲間と海賊船に乗り換え、世界を旅しながら暮らす。世界のどこかでU23 VillegeかU23 Cityのようなユートピア創りに挑戦しているかもしれない。

新入社員へ問う。

10年前、あなたはどこにいましたか? 10年後、あなたはどこへいきますか?

10年前になにをしていたかの結果が現在とよく言われる。10年前を振り返って自分や周りを見渡せば、その言葉に説得力は増す。10年前から自分を信じて走り続けている人は、いまを生きている。

10年後に後悔したくなければ、いまやろう。10年後から見れば、いまほど若いときはない。過去は変えられないけど未来は変えられる。いまを戦えない者に未来を語る資格はない。いまはわからなくても、やってよかったと10年後には思えるはずだ。

U23が未来を変えるエージェントになるためには、人・アイデア・夢をつなげるクリエイティビティを高めると同時に、U23が挑戦者となり、デモを見せ、ガイドを作り、後輩たちに勇気を与える道標になることだ。すなわち、U23スタッフが留学や未来の働き方をして夢を叶えFun & Coolに生きることで、後輩たちも刺激を受けて仲間が増えて行く。日本から海外へ、現在から未来へ飛び立つ仲間が増えたら、日本の未来も変わる。そうやって時代を前に進めることで、世界が変わる。そして、U23はもう一歩先へ進める。ともに未来を変えよう。

Change The Future,

Ken from Sri Lanka