イランで思い出した旅行や留学に最も必要なもの

平和と健康

旅行や留学できない理由は、お金でも時間でもない。学校でも会社でもない。家族や恋人、言葉や文化でもない。

イランへ渡航の数日前に、テヘランで国会が襲撃される同時テロ事件が起こる。中東5ヶ国はカタールとの国交を断絶すると発表した。こんな政治情勢で緊張感の走る中東へ渡航できるのか、渡航してよいのか、渡航延期が頭をよぎる。

イランへ渡航前に、怪我や病気で入院していたら渡航はできなかったかもしれない。高熱や感染症の疑いを持たれると、仮に気合と根性で空港へ向かったとしても出入国できない。心は健康だが体は病と共に生きた父は、人生で一度も海外へ行ってない。狂ったように世界を旅しているのは、父や母の分まで世界を旅しようという気持ちがどこかにあるのかもしれない。

現代の日本にいると当たり前すぎて忘れそうになるけど、平和な時代だからこそ旅行や留学はできる。不自由のない元気な時は気づかないけど、健康でなければ旅行や留学はできない。爆弾が落ちた時に気づく。体が動かなくなった時に知る。

イランの旅では、平和と健康という、忘れかけていたことを思い出させてくれた。

印象と現実

1980年代のイラン・イラク戦争中に、イランへ入国しようと思えば命掛けだ。2017年のイランはどうなのか。世間の印象と現実の違いは。それを知りたかった。世界中を旅しているが、イランほど行く前の印象と行った後の現実が違う国はない。

イランに行くと言えば、決まり文句のように危なくないのかと聞かれる。昔は自分もそうだった。イランを知らない人のイランに対するイメージは、おおよそ戦争や核爆弾などネガティブなもの。ストリートの作法を覚えたら回避できる、貧困が理由で強盗や殺人が多発する南アフリカやブラジルの治安が悪いとは訳が違う。無知ほど怖いものはないのでイランについて調べた。幸いにも日本で中東に詳しいイスラムの友達、イランで暮らす古い日本人の友達と地元のイラン人の友達から話を聞いて、イランは平和なであることを知った。

実際にイランは聞いて想像していたより何倍も平和だった。ホームステイをして、観光をして、地元の企業や学校も訪れ、学生も社会人も、アッパークラスもロウアークラスも、都会も田舎も、いろんな人と遊んだ。インターネットは教えてくれないその国の本当の姿が見えてくる。暮らすように旅すると見える景色が変わる。

韓国と北朝鮮をいっしょにしてはいけないように、イランとイラクは隣同士でも全く違う国。イランが危ないと言う話は、日本人は未だにちょんまげで刀を差したお侍さんがいると言ってるようなもの。それが人々の印象と現実というもの。

お金と時間

人はお金がないと言うけれど、本当にそうだろうか。彼・彼女たちの財布を見せてもらうと、たいていショッピングをするお金は持っている。つまりお金の作り方を知っているし、作ることもできる。

できないと言い訳をするのではなく、勇気を出しておもいっきりするだけ。平和な日本で暮らす健康な日本人なら、アルバイトをして収入を増やし、実家や友達のお世話になり家賃を節約したり支出を見直せば、海外旅行や留学する程度のお金を貯めることは、そこまで難しいことではない。物価の安い国へ行くなら、今の手持ちの予算ですぐにでも行けるかもしれない。

人は時間がないと言うけれど、本当にそうだろうか。彼・彼女たちのスケジュールを見せてもらうと、学校や仕事の予定がある中で、ショッピングに行ったり友達に会う予定も入っている。暇を持て余している人さえいる。つまり、時間の作り方は知っているし、作ることもできる。

できないと言い訳をするのではなく、勇気を出しておもいっきりするだけ。日本人は事故に遭ったり病気を患うと入院して学校や仕事を休む。そんな人もいるのに、計画を立てて単位を取得したり、仕事をマネジメントして、留学や旅行する時間を作ることはそんなに難しいことだろうか。学校や会社を辞めれば、すぐにでも行けるかもしれない。

覚悟と決意

人は言い訳探しの天才である。何かを成し遂げる人とそうでない人の差は、言い訳を辞めて行動を起こすかどうか。覚悟と決意の違い。何かを始めることで、何かが変わる。何かを賭けることで、手に入るものがある。何かを捨てることで、道が開ける。覚悟や決意とは、ある意味で勇気を出して何かを諦めることでもある。うつ向かず、前向きに。

イランでは、インターネットも規制されており、facebookやtwitterはつながらない。イラン人のパスポートでは日本人のパスポートのように、どこの国でも気軽に留学や旅行したりできない。それをイラン人だからと言い訳をはじめたら前へ進まない。制限の中で彼らは、VPN(バーチャルプライベートネットワーク)を使って、世界中のサイトへアクセスする。お金と時間をかけて、英語を学び外国人と交流する。時に、イランのパスポートを捨て世界へ飛び立つ。

僕らはイラン人とか日本人とか言う次元では生きていない地球人。過去を悔やむことなく、未来を恐れることもなく、今この瞬間を生きている。そんな感性を共感できる友達との出会いは最高の思い出。物事がうまくいかず失いかけていた自信を取り戻し、違う物事の見方と心を洗練された。

やらない言い訳なんていくらでもある。でもやったほうがおもしろい。だから、今何かを始めよう。

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