あれから5年、スティーブ・ジョブズが遺してくれたもの

2011年10月5日、スティーブ・ジョブズがこの世を去ってから5年、奇しくも命日にiPhone 7 Plusジェットブラックが届く。Appleからの粋なはからい。

Kenの未来を変えた人物や物をあげるなら、スティーブ・ジョブズとボンダイブルーのiMacは外せない。iBookやMac OSがなければU23もなかっただろうし、iPhoneがなければ仕事をしながら世界23周の旅もできないだろう。

Appleと恋に落ちたのは1998年。薄氷のAppleにスティーブ・ジョブズが復帰し起死回生を賭けて投入したボンダイブルーの初代iMacに一目惚れした。

電話やテレビ、車や飛行機が発明された時もこんな感じだったんだろうか。自宅の部屋から世界中につながるインターネットに夢中になった。一晩中ネットサーフィンをして、Webサイトを立ち上げたりもした。世の中はWindowsが流行っていたけど、Mac OSのUIでなければテンションはあがらなかった。

ジョナサン・アイブが手がけたそのデザインは、まるでどこか別の星からやってきた生き物みたいで、道具に命を与え、芸術に変えた。古くなってもインテリアとして飾っておきたくなる。雑に扱うとフリーズして怒ったり、アップデートしたらご機嫌になる。iMacという友達ができた。

iMacはたしかメモリを追加したり20万円ぐらいしたけど、ピザ一枚我慢すればiMacが手に入るというCMは、貧乏学生にチャンスをくれた。はじめてローンを組んだ。お金がないからできないというのは言い訳ということを教えてくれたのもiMacだった。本気でやりたいことや欲しいものがあれば、たいていのことはなんとかなる。ちなみに、U23を起業した時も資本金0。

当時はまだ主流だったフロッピーディスクを、時代に先駆け捨てたそのセンスとスピリッツに、この作品のストーリーを知りたくなった。それからAppleやスティーブ・ジョブズの書籍やサイトも読み漁る。知れば知るほど、このクレイジーな男の生き様に虜になる。世間はその未来に興奮する人々とその可能性にまだ気づいていない人々との温度差があった。

その後、自然な流れでiBook、iPodと友達が増えていった。「1000曲をポケットに。」と初代iPodの発表会をインターネットで見て熱狂し、発売日に会社をさぼって買いに行った。行列はまだなかった。Appleのシンプルでハートを刺激するプレゼンテーションは、U23でもお手本にしている。経営や人生の先輩でもあり、会ったこともないスティーブ・ジョブズと話をしては、どうやったら革新が起こせるかいつもアイデアをもらっている。iPadは容量5Gと言われてもギーク以外はピンとこない。初代iBookの「iMac to Go」というフレーズのリズムもテキストも美しい。デジタルハブというコンセプト、そして無駄を削ぎ落としシンプルを極めたミニマムデザインにAppleと二度目の恋に落ちた。

2003年にU23を創業した時の唯一最大の武器はiBookとiPadだった。Appleはガレージから、U23はシェアハウスからはじまった。それから今にいたるFuture Work《未来の働き方》はMacなしでは考えられない。Macがきっかけでかけがえのない仲間が増え、出版に関わったり、Apple Storeでプレゼンテーションをした。今日もスティーブ・ジョブズがつなげてくれた仲間とU23の革新的なシステムを創っている。この先もまだまだ点と点は線につながっていくだろう。

今日はAppleスティーブ・ジョブズを偲び、昔話をしてみた。

Apple Watch, Apple TV, iPad Pro, Apple Pencil、もうすぐAirPods。スティーブ・ジョブズなしでそれほど悪くないけど、「One more thing」欲しい。世界はCrazy Oneがいなくて寂しい。

RIP Steve Jobs