『原題:REWORK / 邦題:小さなチーム、大きな仕事』読書レビュー

iPadで月に23冊以上の読書をするU23代表Kenの書斎を公開。小さな会社で働く人、起業する人、就職する人におもしろい一冊を紹介しよう。就活中の学生は、大手以外にも目を向け、中小企業を見直すきっかけになれば嬉しい。

『原題:REWORK / 邦題:小さなチーム、大きな仕事 -37シグナルズ成功の法則-』を僕が初めて読んだのは3年前。あれから時代が少し彼らに追いついてきたように感じる。賛否両論だがファンも多く、去年イラスト入りの改訂版が出版された。彼らの仕事の仕方は、U23が提案するFuture Work(未来の働き方)に共通することが多く、彼らの成功は自分たちのワークスタイルに自信を与えてくれる。

The new reality

著者は、37Signalsの創業者ジェイソン・フリードと共同経営者デイビット・H・ハンソン(オープンソースのフレームワークRuby on Railsの開発者としても有名)の共著で、「仕事の本質を見直そう」と彼らの経験をベースにわかりやすく伝えてくれる。37Signalsは、シカゴに拠点に世界中の離れた場所で働く数十人のスタッフで、小さな会社やグループが楽に仕事をできるようなソフトウェアを開発している。

製品もすばらしいので紹介しておこう。海外では有名で300万人以上のユーザーがいる『Baseamp(ベースキャンプ)』Webプロジェクト管理ツールや、『Hirise(ハイライズ)』顧客管理ツール、Campfire(キャンプファイア)』リアルタイムチャットサービスなどがある。プログラマなら知っているであろう『Ruby on Rails』というオープンソースのフレームワークも開発している。よくあるインターネット企業とみなされないように彼らの言葉を引用しておく。

”僕たちをインターネット企業と呼びたくなるが、これにはうんざりだ。インターネット企業は、強迫観念のように人を雇い、でたらめに浪費し、はなばなしく散るのが相場だ。僕たちは小さく、質素で利益をあげている。”

はじめの2ページで親近感をいだいてしまう。U23もそのへんの留学センターといっしょに扱われるのは不本意でこの気持ちがよくわかる。

それでは、なか身も少し見てみよう。全編を通して無駄がなく中身が詰まっているのでぜひ書籍を読んでいただきたい。

見直す

”現実の世界なんて無視しよう

「そんなこと 。”現実”にはうまくいくわけない」。 新しいアイディアを公開すると、こう言われる。この”現実”とはひどく気の滅入る場所のように聞こえる。新しいアイディアみなれぬアプローチ、 変わったコンセプトが必ず敗北する場所だ。 勝利するには、 みんながやっているようにするしかない。 たとえそれが欠陥だらけで非効率的にみえても。(中略)「現実」の世界とは場所ではなく、いい訳だ。何もはじめないことの正当化だ。あなたには関係ない。 ”

”「失敗から学ぶこと」は過大評価されている。”
”計画は予想にすぎない。”
”会社の規模なんて気にしない。”…etc

と見出しは続く。まるで気持ちを代弁してくれるかのよう。
言い訳はいらない。ノイズに惑わされず自分を信じて未来を変えよう。

Ignore the real world

先に進む

”あなたに必要なものを作る

すごい製品やサービスを生み出す最も単純な方法は、 あなたが使いたいものを作ることだ。”

この章は、先に進むために、何が本当に必要なのか、歩んできた道が間違っていないことを教えてくれる。

U23も自分たちが留学をするときに苦労したから、留学をもっと安く安全に簡単に実現したくて創った。『選べるホームステイ』や『迷わない地図』もかゆいところに手が届くサービスや製品がなかったので、自分たちが使いたいものを創った。

U23を会社にしたのも、いいと思う会社を探してそこに入社するより、自分で創った方が早いと判断したのがきっかけだ。万が一、世間には人気がでなくても、自分たちがほしいものだったり、必要だったものだから無駄にはならない。

そして、自分たちで情熱を注いで開発したものだから、誰よりもその本質や価値をわかっている。後の章でも語られるが、他社に真似されても表面だけの模倣で理解を飛ばした粗悪品はオリジナルに勝てない。

Scratch your own itch

ひらめきには賞味期限がある

”もし金曜日にひらめいたら、 土日を返上してプロジェクトに専念するのだ。 インスパイアされている間はニ四時間で二週間分の仕事ができるものだ。 そういう意味ではひらめきはタイムマシンだ。

ひらめきとは不思議なものだ。 生産性を高め、やる気をあおる。 だが、待っていてはくれない。 ひらめきとは「今」のものだ。 もし、 虜にされたなら、 逆に仕事に専念することだ。”

最後のページも印象に残るフレーズで締めくくられる。
音楽家ならメロディーが空から降ってくるように、ひらめきが空から舞い降りてくることがある。集中しているサッカー選手がディフェンダーの動きがスローモーションのように見えるように、仕事をしていても時間を忘れるほど夢中になり驚くほどのパフォーマンスを出せることがある。それは、ひらめきのタイムマシン。

Inspiration is perishable

みなさんも働き方を見直してみませんか?このブログを読んで刺激された方は、コメントやTwitter(twitter.com/u23ken)で教えてくれると嬉しいです。

【今回紹介した書籍】

『小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕-37シグナルズ成功の法則-』
ジェイソン・フリード (著), デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン (著), 黒沢 健二 (翻訳), 松永 肇一 (翻訳), 美谷 広海 (翻訳), 祐佳 ヤング (翻訳)

Getting Real
Webで無料で公開されている。英語の勉強にもなるので合わせて読みたい。

Basecamp
37SignalsのWebプロジェクト管理ツール